今回は、20代サラリーマンの私もやっている資産形成制度、「iDeCo」について解説したいと思います。上手に使えば、資産形成の強力な武器になる制度です!
メリットやデメリットを確認することで、自分で納得した判断ができるようになればと思います。
1 iDeCoとは
1 基本情報
iDeCoとは、”individual-type Defined Contribution pension plan”の略称で、日本語では、「個人型確定拠出年金」と言います。
なんやそれ…。
iDeCoは、任意加入の私的年金制度で、毎月の設定した掛金を拠出し運用していく制度です。なので、「個人型」であり、「確定拠出」と言えます。
確定拠出年金には、「個人型」と「企業型」があります。
「個人型」は自助努力によるものなので、手数料を自分で負担しますが、「企業型」は会社の福利厚生として提供されるので、会社が手数料を負担してくれるなどの違いがあります。
そして、毎月一定の掛金を設定し運用していく制度を「確定拠出」、会社側が給料から拠出し、その後一定額を加入者に給付する制度を「確定給付」と言います。
タイプが分かれています!
iDeCoや企業年金は以下のように分類することが出来ます。
○個人型確定拠出=iDeCo
○企業型確定給付=企業年金(退職金等)
2 年金制度の仕組み
日本の年金制度は以下の通り3階層となっていますが、iDeCoは3階部分にあたるものです。
3階部分 | 確定給付企業年金 | 従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる確定給付型の 企業年金制度であり、企業等が法人を設立する「基金型」と、労使合 意の年金規約を企業等が作成し、年金制度を実施する「規約型」があ る。基金型は企業年金基金が、規約型は企業等が、年金資産を運用し て従業員に年金給付を行う。 |
厚生年金基金 | 確定給付型の企業年金制度の一つ。企業や業界団体等が厚生年金基金 を設立し、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。国の年金給付 のうち厚生年金の一部を代行するとともに、会社独自の上乗せ給付 を行う。 | |
確定拠出型年金 | 企業がや個人の運用収益との合計額が給付額となる企業年金制度で、 従業員のために企業等が規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受け て実施する年金制度。 | |
iDeCo | 60歳未満の公的年金の加入者が国民年金基金連合会の委託を受けた 運営管理機関(金融機関)に申し込み、加入者自らで掛金を拠出して いく年金。日本語では個人型確定拠出年金と呼ばれる。 | |
2階部分 | 厚生年金保険 | 民間企業で働く従業員、公務員および私立学校の教職員で70歳未満 の人が対象であり、国民年金に上乗せして給付される年金。 |
1階部分 | 国民年金 | 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が対象。自 営業等で生計を立てる人を第1号被保険者、会社員・公務員などの 厚生年金加入者を第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている 配偶者を第3号被保険者と分けている。 |
国や会社だけでなく、自分で年金を積み上げていくことで、老後に向けた資産形成をより強固なものにできますね。
以下の項目に当てはまる人以外は、iDeCoに加入することができるので、対象者はかなり多い制度になっています。
○iDeCoに加入できない人
- 国民年金を未納、もしくは免除・納付猶予
- 60歳以上である
- 海外居住者である
- 会社からiDeCoの加入を認められていない
- 農業者年金に加入している
ほとんどの人は問題なく加入できると思います!
3 掛金の上限額
そんなiDeCoですが、加入者の職業や会社の条件によって掛金の上限が定まっています。
・自営業等 68,000円
・会社勤めで、企業年金・企業型確定拠出年金のどちらも未加入の人 23,000円
・会社勤めで、企業型確定拠出年金に加入している人 20,000円
・会社勤めで企業年金に加入している人、または共済組合員(公務員等) 12,000円
・会社勤めの人や共済組合員(公務員等)に扶養されている配偶者 23,000円
自分に当てはまる条件を確認しておきましょう。
大体、掛金の上限は2万円ほどに設定されていますね。
会社勤めの人の場合は上限が複雑なので、自分に当てはまるのはどれか確認しておきましょう!
2 iDeCoのメリット
1 掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税が安くなる
1つ目のメリットは、掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税が安くなるということです。
iDeCoで積み立てた掛金は、全額が所得控除の対象となり、年間で拠出した掛金の総額を所得から差し引くことができるため、その分の所得税と住民税が軽減されます。
人によって節税額は異なりますが、社会人2年目の私でも2〜3万円程度の節税が期待できました。
ちなみに私は月額12,000円を積み立てています!
自分の節税額が知りたい方は、下のシュミレータから計算してみてください。
iDeCo節税シミュレーション(ろうきん)
2 運用益が非課税になる
2つ目のメリットは、運用益が非課税になるということです。
普通、株式や投資信託の運用益には20.315%の税金が課されますが、iDeCoで運用した商品であれば、これらの運用益に対する税金がかかりません。
本来であれば税金として引かれていた分の資金を再び運用に回すことができるので、より効率的に運用することが可能になります。
後で述べますが、原則60歳まで運用していると考えると、かなり大きな優遇ですね。
3 受取時も税負担が軽減される
3つ目のメリットは、受取時も税負担が軽減されるということです。
iDeCoで資産運用を行い築いた資産は、60歳〜70歳のタイミングで、一時金としてまとめて受け取るか、年金として分割で受け取り始めることができます。
一時金としてまとめて受け取る場合は、「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は、「公的年金等控除」が適用されるので、これらの控除を利用することで税負担を軽くできます。
出口戦略も考えておかないとな…。
3 iDeCoのデメリット
1 60歳まで引き出し・解約ができない
対して、デメリットもあります。
1つ目のデメリットは、原則60歳まで引き出し・解約ができないということです。
積み立てているお金を使ってしまう心配がないとも言えますが、急にお金が必要になったとしても引き出すことができないという点が不安に感じる人は多いと思います。
また、ネットの情報などでもiDeCoを始めてから掛金の支払いに苦慮しているといった意見もあり注意が必要だと思います。
「老後は3000万円必要」を信じてiDeCoにハマった夫婦の悲劇(マネー現代|講談社)
最初は無理のない金額から始めようかな。。。
ただ個人的には、一時的に積立を中止できたり、月5,000円まで掛金を減額することができるのでそこまで心配にならなくても大丈夫なのかなと思っています。
2 受取時に税金がかかる
2つ目のデメリットは、受取時に税金がかかるということです。
メリットの3つ目で、受取時の税負担が軽減されるという点を挙げましたが、税金はかかってしまいます。
税額については、会社での退職金の額や分割で受け取る場合の年数など、人によって様々なので自分で計算してみてお得な方法を選べるといいですね。
iDeCo節税シミュレーション(ろうきん)
3 開始時と毎月、手数料がかかる
3つ目のデメリットは、開始時と毎月、手数料がかかるということです。
iDeCoを始める際、運用していく際にかかる手数料は以下の通りです。
時期 | 金額 | 備考 | |
①加入時・移転時手数料 | 開始時 | 2,890円 | 全員一律で支払い |
②口座管理手数料 | 毎月 | 171円+α | 171円は全員一律、金融機関によっては +αかかる |
③信託報酬 | 毎日 | 運用商品によって異なる | 保有残高の中から年0.5%〜2%程度 |
④給付事務手数料 | 給付時 | 440円 | 給付毎に毎回 |
⑤還付事務手数料 | 該当時 | 1,488円 | ①限度額を超えて拠出した時 ②国民年金の未納が発覚した時 ③加入資格のない人が拠出した時 |
①加入時・移転時手数料については開始時に、国民年金基金連合会に対して全員が支払うものです。
②に関しても国民年金基金連合会や信託銀行に対して全員が支払うものです。
③信託報酬は運用商品によって異なりますが、商品を運用している以上は絶対にかかってくる手数料です。
なので①〜③の費用が運用するためには絶対に必要になります。
また、受け取り可能な年齢になった後、築いた資産を実際に受け取る際にも④給付事務手数料が発生します。
これに関しても、お得な受取方法を選んでいく必要がありますね。
4 デメリットになり得るかもしれない「特別法人税」
今後、iDeCoで資産運用を行っていく中で注意する必要があるのが、「特別法人税」と呼ばれる税金の存在です。
特別法人税は簡単に言うと、運用しているiDeCoなどの確定拠出年金や、企業の確定給付年金の資産残高に対して、1.173%の税金がかかるというものです。
この特別法人税は1962年に成立しましたが、1999年から凍結されています。現時点では2023年まで凍結されることが決まっています。
凍結していますが、廃止はしていないので復活するのではないかという懸念もあります。
復活しないで。。。
ただ復活するにしても、この1.173%という税率が1962年当時の状況を加味して設定されていたりするので、このまま復活するかどうかは不透明なところです。
そもそもiDeCoは個人型確定拠出年金なのに、特別”法人税”がかかる意味がよくわからないんですけどね…。
5 まとめ
今回はiDeCoについて、メリットとデメリットを踏まえてお話をしました。
私は、こういったメリット・デメリットを踏まえた上で、実際にiDeCoを積み立てていますが、私の場合、月に12,000円が上限ということもあり、そこまで無理なく続けることができています。
やはり節税のメリットがかなり大きいので、資産形成の一助としてかなり活用できるのではないかと考えています。
iDeCoを実際に始める方法については、下の記事で詳しく説明しています!
つみたてNISAと合わせて積み立てていけると良いですね!
ただ、60歳まで引き出せないデメリットなど、つみたてNISAと比べて制約も多いことは事実なので、興味のある人は自分なりに納得してから始めることをおすすめします。
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