今回は、ビル・パーキンス氏の著書、「DIE WITH ZERO」をご紹介します。
タイトルだけでは想像がつきませんが、この本は、「どのタイミングでどうお金を使うか」というテーマを取り扱っています。
「DIE WITH ZERO」=自分の人生をゼロで終えろ→「生きているうちにお金を使いきれ」というメッセージが込められています。
今までどうお金を稼ぐか、どう資産形成をしていくかということを中心に考えてきた人にこそ、おすすめできる本です。
1 この本を手に取った理由
悩み:お金を使うタイミングが分からないということ
私がFIREを目指す中で、支出を最小化していくことは得意でした。
子供の時からお金を浪費する方ではなかったので、計画的に貯蓄や積立投資に取り組んでいます。
ただその一方で、節約しすぎて人生の楽しみや豊かさを失ってしまっているのではないか、という悩みを持ち始めました。
豊かな人生を過ごしたいという本質が失われているのでは…?
また、その時ちょうど知り合いの方が亡くなったタイミングでもあったため、「人生はいつ終わりが訪れるか分からない」ということを再認識しました。
その中で、人生の中のお金という部分について、考えるヒントを得たいと思いこの本を購入しました。
2 本のまとめ
筆者のメッセージ
この本は、
お金を正しいタイミングで正しく使え、ということを説いています。
生活のためにはお金が必要です。また、病気や働けなくなった時に備えてある程度貯金も必要だというのは間違いありません。
ただし、そういった心配をしすぎて、やりたいことにお金を使わず、必要以上にお金を溜め込んでしまう人も中にはいるでしょう。
そういった方は、亡くなってしまった時や余命を宣告された時、「もっとこういうことがしたかった」と生き方を後悔することになるかもしれません。
「死ぬときに後悔すること」をまとめた本があるくらいですもんね…。
「DIE WITH ZERO」の中では、一番大事なことは豊かな人生を歩むことであり、お金をいかに多く貯められたかではないということを主張しています。
- お金をどういったものに使っていくのか
- 金・健康・時間の3軸の最適化
- 資産を取り崩すタイミングについて
など、人生を豊かにするお金の使い方について、様々な視点から説明されています。
3 読んで良かったと思う部分
1 思い出づくりと思い出の配当が重要
では、人生を豊かにするには、何にお金を使うべきなのでしょうか。
この本では「思い出づくり」にお金を使う、つまり経験にお金を使うことを推奨しています。
亡くなるときに「良い人生だった」と思える人生とは、「良い経験をした人生」と言えるのではということです。
私も学生時代に、学生にとっては大金を払って何ヵ国か海外旅行に行きましたが、食べ物や文化・習慣の違いを知るといった経験は、かけがえのないものだったと思っています。
そういった経験にお金を使えたのは、本当に良かったと思っています。
また、そういった経験は将来にわたって、「思い出の配当」を与えてくれます。
配当とは記憶のことで、経験を増やすとその経験の記憶が将来にわたって、自分の心に多くの喜びを与えてくれます。
学生時代の楽しかった経験や、大変だった経験は今でも自分の心の中にありますし、自分の行動の支えとなっています。
昔の友人と会うと、いっつもあの思い出話しちゃうな…。
また、その経験が早ければ早いほど、人生においてその思い出の配当を得る機会が多くなります。
配当を得る期間が長ければその分、記憶から得る喜びも大きくなりますよね。
だからこそこの本では、その時に必要な経験には惜しみなく金を使い、その経験から喜びを得ることで、人生をどんどん豊かにしていこう、ということを述べています。
もちろん、お金は無限にあるわけではないので、日々の生活の中でのお金の使い道はよく考える必要があります。
また、もっと後に経験した方が、その経験自体をより豊かなものにできるという場合はそのタイミングを慎重に考えなければいけない場合もあります。
私も学生時代、韓国のカジノに行きましたが、お金がなくあまり楽しめなかったです笑
お金と時間のバランスを見極めることは難しいですが、真剣に考え、自分なりの答えを出すことが大事だと思います。
2 金・健康・時間の3軸
また、金・健康・時間の3軸を考えることも重要だと述べています。
よく人生の段階では、下の図のような特徴があると言われます。
若者 | 中年 | 年配 | |
充実している | 健康・時間 | 金・健康 | 時間・金 |
不足している | 金 | 時間 | 健康 |
一般的に、
- 若者は健康で時間があるが、金がない
- 中年は金と健康だが、時間がない
- 年配者は時間と金があるが、健康でない(体力がない)
と考えられます。
各年代で、不足しているものを充実しているもので補うべきですが、金を重視しすぎて、健康や時間を犠牲にしているケースがあります。
そのため、健康や時間に対してもお金を使うべきであると言えます。
例えば、定期的に歯医者に行って健康な歯を保ったり、乾燥機を購入して、洗濯にかける時間を減らしたりすることができます。
医者に行かないがために、後から大きな病気が見つかったら大変なことですよね。
この3軸をバランスよく保つことで、充実した生活を送ることができます。
また、特に健康に気をつけることで、いろいろな経験の障害(歯が痛くて食べるのがあまり楽しくない、太りすぎて運動が辛いなど)をなくし、思い出づくりがより一層捗るでしょう。
4 考えたこと
今回は、「DIE WITH ZERO」の書評でした。
豊かな人生には、やはりお金が必要だと思います。
ただ、お金を追い求めすぎると、豊かな人生とは言えない人生になってしまいます。
何かを得るためには何かを捨てなければならないことがほとんどだと思いますが、お金を得る中で、捨てるものの貴重さも、しっかりと考えていかないと思いました。
また、FIREを目指している私ですが、FIREに囚われすぎず、豊かな人生には何が必要かを考えて行動することが大事であると再確認しました。
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