今回は、ハンス・ロスリング氏の著書、「FUCTFULNESS」をご紹介します。
この本は、「正しく世界を見るには」というテーマを取り扱っています。
私たちは、日々様々な情報に触れる中で思い込みやデマに振り回され、正しく世界を見ることができなくなってきています。
その中で著者は、間違った思い込みをやめて、正しく世界を見るためのポイントを10個紹介しています。
情報の取捨選択が重要な今、一度読んでおいて絶対に損のない本です。
1 この本を手に取った理由
悩み:世界について何も知らなかったから
私はFIREを目指す中でのコア資産として、全世界株式を積み立てています。
なぜなら世界の人口は、2022年現在から2100年には約40億人増えると言われており、それに伴って各国のGDPも成長し株式市場も世界で見れば成長すると考えているからです。
こういった知識を持っていたことが、全世界株式に投資するきっかけでもあったのですが、他にも世界にはもっと知っておくべきことがあるのではないかと感じていました。
日本の中でさえ知らないことが多いです。
その中で、この本は世界を正しく見ることをテーマに、正しい世界の現状と、人の思い込みについて学べる本だと知り、興味を持ちました。
2 本のまとめ
筆者のメッセージ
この本は、
間違った思い込みをやめ、事実に基づく世界の見方を身につけることの重要性を説いています。
本の中では、人間が間違った見方をしてしまう原因である「〇〇本能」について、世界中のデータや筆者の体験談・経験を多く用いながら説明しています。
その中では、実際には危険ではないものに恐怖を感じてしまう「恐怖本能」や、世界が極端に分断されていると感じてしまう「分断本能」などが紹介されています。
そういった見方の根底には、人間がドラマチックな本能を持っていることが関係していると筆者は指摘します。
私たちはドラマチックな物語を求めることが、世界を実際の姿で見ることを困難にさせ、判断を誤ってしまったり、周りの環境にストレスを感じたりしてしまいます。
そのため筆者はこの本を通じ、
- 正しい世界の見方を身につけ、日々のストレスを少なくすること
- 客観的に世界を見て、世界には何が必要かを判断できるようになること
を読者に対して願っています。
3 読んでよかったと思う部分
1 ネガティブ本能
特に私が読んでよかったと思う部分についてお話しします。
1つ目は、「ネガティブ本能」です。
これは、自分や世界がどんどん悪い方向に進んでいってしまっている、と思い込んでしまうことを指します。
この思い込みがあることでどんどん暗い気持ちになっていってしまい、事実よりも悪いイメージを持ってしまうことになります。
・悪いニュースの方が伝わりやすい
そのネガティブ本能が生まれるには理由があります。1つ目は、悪いニュースの方が伝わりやすいということです。
2021年現在、コロナウイルスが猛威を振るっていますが、感染者数やワクチン等関連するニュースは、ネガティブなものを多く見ますよね。
例えば、ワクチンの副反応を危惧するものであったり、先週よりも感染者数が〇〇人増えたというものです。
やっぱりそういうニュースは気になる…。
そういったニュースばかりを報じるようになると、人々の不安を必要以上に煽ってしまう恐れがあります。
例えば実際には、ワクチンを摂取すると症状が軽くなったり、治って元気に暮らしている人が多くいたりするはずなのに、そういったことを忘れてしまいます。
悪いニュースの影には良いニュースも同じくらいあると考えた方が、心穏やかに生きていけるのではないでしょうか。
・ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
2つ目は、ゆっくりとした進歩はニュースになりにくいということです。
人間はゆっくりとした進化に鈍感になるものです。
例えば今、1,000万円が突然手に入ったら衝撃があると思いますが、5年じっくりと時間を掛けて築いた1,000万円であれば、そこまでのインパクトはないでしょう。
昔よりも今の方がちょっとずつ良くなっていることは、たくさんあります。特にITの分野では、20年前と比べれば当たり前のレベルがものすごく上がってきていますよね。
2000年台初期でやっとガラケーを持ち出したくらいですよね。
20年前の人にiPhoneを渡したらびっくりすると思いますが、今ではそのiPhoneを当たり前に使っています。
外だけではなく自分自身の進歩にも気づきにくいと思います。
ただこのことを知っていれば、自分自身に大きな変化が感じられなくても、「きっと毎日成長できている!」と思えるようになるのではないでしょうか。
・悪いけど良くなっていることもある
今が悪い状態であったとしても、だんだんと良くなっていることに目を向けることが大事です。
最初は何もできなくても、マイナスからのスタートだとしても、自分次第で良くなっていけます。
ネガティブな面にばかり目を向けるのではなく、「良くなっている」と感じながら生きる方が絶対に楽しいですよね。
2 犯人探し本能
2つ目は、「犯人探し本能」です。
これは何か起きた際に、単純にこの人のせい、またはこの人のおかげであると考えてしまうことを指します。
この思い込みがあることで、関係のない人を責めることとなったり、それが起こってしまった仕組みの方に目が向かないなどの問題が起きてしまいます。
本当にその人だけのせいか分からないのに、責めることはよくないです。
・誰かのせい・誰かのおかげにしたくなってしまう
何か悪いことが起こった時、人間は他の「誰か」に原因があると考えたくなってしまいます。
でも実際には、誰のせいでもなかったり、はたまた自分が悪いこともあります。
逆に良いことが起こった時にも、この人のおかげであると考えたくなってしまいます。
それが組織全体の結果であったとしても、はたまた偶然であったとしてもです。
世の中で起こる出来事は、誰か1人に起因することは少なく、色々な人の影響を受けて起こります。
他人を責めるのではなく、どんなことが起因しているのかに目を向けることが大事です。
・どんなことに起因しているのか
何か起こった時、犯人を探すのではなく、どんなことに起因しているのか一度考えてみることが重要です。
何か失敗してしまった時、
- 誰が悪いのか
- なんでこんなことしてしまったんだろう
と考える暇があったら、
- 仕組みに何か問題があったんじゃないか
- これから立て直すにはどうしたら良いだろうか
と考える方がよっぽど建設的ですよね。
結果は一つ一つの活動の結果が結びついて起こるものです。
単純に考えるのではなく、全体を見渡してみて仕組みや原因に目を向けていくのは、どんなことにも役立つスキルだと思います。
4 考えたこと
今回は、「FACTFULNESS」の書評でした。
筆者の体験談や世界のデータが多く散りばめられており、本の厚さの割にはスラスラと読むことができます。
また、図解されている部分も多く、視覚的にも理解しやすいようになっています。
読んだ後すぐに情報の見方が変わるというわけではないかもしれませんが、自分の考えに対して、「あ、これは〇〇本能が働いているな」と思っていくきっかけになっていくと思います。
クリティカルシンキング(批判的思考)の基礎にもなっていると思います。
そういったきっかけから、徐々に物事の本質を見極める力がついてくると感じます。
私が印象に残った部分で取り上げたもの以外にも、自分の考え方に影響を与えてくれる文章が数多く散りばめられているので、広い視野で俯瞰的に物事を考えたい方は、ぜひ読んでみてください。
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