今回は、バートン・マルキール氏、チャールズ・エリス氏の著書「投資の大原則」をご紹介します。
この本は、投資に関する歴史的名著を出版した両氏が、多くの人に対し投資の原則を示すために記したものになっています。
投資における原則をシンプルに記したこの本は、分量も比較的少なく、投資初心者はもちろんのこと、投資に慣れた人にも基本を思い返させてくれる本です。
まだ投資を始める前であれば、一回は読んでほしい名著です。
ちなみに、バートン・マルキールは「ウォール街のランダム・ウォーカー」、
チャールズ・エリスは「敗者のゲーム」という名著をそれぞれ残しています。
どちらも投資の名著として何十年も読み続けられています!
1 この本を手に取った理由
悩み:どの投資情報を参考にすべきか迷った
現在は、投資に関する情報をYoutubeやSNS等で簡単に入手できる世の中です。
投資に関して発信する方が増えてきていることもあり、投資に対して昔よりも様々な情報があります。
多くの情報に対して簡単に手を伸ばせるこの状況は良いことではありますが、逆に情報過多と感じる方も多いのではないのでしょうか。
また、発信する方によって年齢や投資金額・職業などがバラバラで、どの投資法が正解かどうか、判断が難しいとも感じます。
私も一通りYoutubeで投資に関する動画を見て勉強し、投資に関する知識が一通りついたものの、結局どういった投資をしていけば良いか、分からなくなっていました。
情報を受け取りすぎるのも考えもの…。
そんな中改めて投資の基本を学び直したいと思い、信頼できる情報を探していたところ、この「投資の大原則」に出会いました。
他の名著、バートン・マルキール氏の「ウォール街のランダム・ウォーカー」よりも手軽に読める点に加え、長期投資に関して不変の原則を学べる点に魅力を感じ、購入しました。
2 本のまとめ
この本では、次の世代も含め経済的に困らないような、貯蓄と投資の大原則を示しています。
貯蓄と投資というテーマで論じられており、「支出の最小化→投資」という流れの重要さを説いています。
本の構成は以下の通りです。
- Ⅰ:貯蓄について
- Ⅱ:インデックス投資のメリット
- Ⅲ:分散投資の重要性
- Ⅳ:失敗を避けるということの大切さ
- Ⅴ:おすすめのポートフォリオ
- Ⅵ:暴落とどう向き合うか
ありきたりな内容に見えますが、投資における名著を残す両氏が書く内容であるため、より重みを感じます。
ありきたりなことを続けるのが一番難しいのかも
また、本書のポイントは以下の5つです。
- 若いうちから貯蓄に励む
- 会社の福利厚生や国の資産形成制度を活用する
- 投資コストの低いインデックスファンドを選ぶ
- 年1回リバランスを行う
- 自分の投資方針を守り長期投資する、値動きは気にしない
この5つをベースに本の内容が組み立てられています。
3 読んでよかったと思う部分
本書の中で特に読んで良かったと思う部分についてご紹介します。
1 市場以上に賢いものはない
1つ目は、「市場以上に賢いものはない」ということです。
私たちのような個人投資家が情報を得て株式を売買しようとする時には、大口の投資家たちはもうすでに動いていることがほとんどです。
私たちは、株式投資を仕事にしている人と違い、すぐに投資行動に移すことができないため、動きが遅れてしまうのは当然のことです。
また、そもそもそういった動きによってつけられた市場価格が、必ず正しいということもありません。
2000年代前半のITバブルでも、プロの投資家たちがIT関連株にどんどん投資していき、ITバブル崩壊で壊滅的なダメージを受けています。
市場の動きは複雑な思惑でできており、動きが全くと言っていいほど読めないからこそ、市場に連動するインデックスファンドに投資し続けた方が、安定的なリターンを得ることができます。
初めて買った個別株はずっと含み損です。
株式投資における自分自身の見通しが、いかに不確実であるかということを自覚し、市場の成長に期待して投資していくのが、私たちの最適解であると著者は説いています。
2 大きな失敗を避ける
2つ目は、「大きな失敗を避ける」ということです。
「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは、大失敗を避けるような賢明な投資を続けてきました。
ITバブル時、他のファンドがIT関連株を組み込む中で、よく理解していない分野の株は購入しないという方針で、ITバブル崩壊の影響を避けるなどのエピソードも紹介されています。
このように大失敗を避けるという点が、株式市場で安定したリターンを出し続ける秘訣であると説いています。
人生には、リスクを負って勝負する時もあると個人的には思います。
しかし、基本的には大きな失敗を避けながら着実な成果を目指していく方が、確実に大きな成果を出すことができるとも思っています。
私もコツコツ努力することをモットーに日々活動しています。
自分の力を過信せず、着実な成果を目指していこうと思わせてくれる部分です。
3 リバランスを意識する
3つ目は、「リバランスを意識する」ということです。
本書では、年齢によって株式・債券の割合や、株式の中でも先進国株・新興国株などを分散して投資することがおすすめされています。
リスクを完全にヘッジできる訳ではありませんが、ある程度投資対象を分散させておくことで、市場下落や金利変動による価格変動を最小限にすることができます。
本書でも分散投資の重要性は何度も触れられている部分です。
本書では、株式と債券がメインに紹介されていますが、金やコモディティ・不動産なども分散対象に入りますね。
そういった商品のリターンを定期的に見直し、ポートフォリオにおける比率を調整することで、安定した資産推移を目指すことを説いています。
私自身はまだリスクが取りやすい年齢ということもあり、投資金額のほとんどを株式にしていますが、株式の中でも全世界株など分散投資が効くものをメインとしています。
年齢を重ねリスクが取りづらくなった際には、債券等も含め、より分散を意識したポートフォリオにしていきたいと感じました。
4 考えたこと
今回は、バートン・マルキール氏、チャールズ・エリス氏の著書「投資の大原則」をご紹介しました。
本当に基本に忠実な投資方法を徹底することが書かれているので、正直退屈だと感じる方もいると思います。
しかし、退屈であるということは、時間や手間・精神的負担が少なく資産形成ができるということの裏返しであるとも言えます。
株式投資をやりたくてやっているというよりは、自分の資産を大きくしたいから株式投資をしているという人がほとんどなはずです。
退屈な投資を徹底し、空いた時間は他の活動に精を出したり、大切な人との時間に充てることが、この投資の最大のリターンなのかもしれません。