今回は、農林中金バリューインベストメンツCIO奥野一成氏の著書、「ビジネスエリートのための教養としての投資」をご紹介します。
社会人のみならず、高校生や大学生でも金融リテラシーの基礎をわかりやすく学べる本になっており、おすすめできる本です。
投資に関してだけでなく、ビジネスの仕方や自己研鑽などにも触れており、日々の活動のモチベーションが上がるような内容になっています!
1 この本を手に取った理由
悩み:金融リテラシーを持っていないということ
FIREを目指してはいるものの、それに向けた投資に関しては全く知識がありませんでした。
投資関連・金融リテラシーの勉強になる本を探していたところ、この本を見つけ購入しました。
それだけでなく、本の題名にある「ビジネスエリートになるための」という部分は、まさにこの本の特徴だと思います。
本書では投資に関する情報だけではなく、ビジネスパーソンとしてどう行動するかといった部分にも、多く触れられています。
ビジネスマンとしての成長が期待できそうなこのタイトルは、多くの会社員に刺さるのではないでしょうか。
2 本のまとめ
筆者のメッセージ
この本は、
投資をすることがビジネスパーソンとしていかに大事なことであるか、を説いた本になっています。
なぜなら、「投資」という行為でその会社に資産を預けるまでには、
- その会社の内部環境・外部環境など様々な事実を分析する
- 事実を基に自分なりに仮説を立てる
というプロセスが入りますが、それは「ビジネス」の中での動きと非常に似ているからです。
「投資」に必要な知識や教養は、「ビジネス」においても必要なものなのです。
投資をすることで、仕事にも良い影響が出そう…!
筆者はこの本を読むことで、「投資家の思想」を持ち、資本主義社会で活躍することを願っています。
本書の構成
この本は大きく分けて、
- 投資家の思想を持つ重要性
- 筆者のキャリアについて
- 投資に対する日本の現状
- 投資法について
という構成になっています。
3 読んで良かったと思う部分
1 投資家の思想を持つ重要性
筆者は、「投資家の思想」を持つことを説いています。
本書では、ビジネスパーソンを以下の通り分類しています。
労働者1.0 | 労働者2.0 | 資本家 | |
マインドセット | 他人に働かされている | 自分で働いている | 他人を働かせる |
スキルセット | 「対応」する力 | 「行動」する力 | 「構想」する力 |
接点・人間関係 | 自分の職場のみ | 自社全体・顧客・業界 | 社会全体・コミュニティ |
働き方 | 単に自分の時間を売る | 自分の才能を売る | 他人の才能を利用する |
投資への考え方 | 投資しない | 自己投資から長期投資へ | 長期投資 |
最初は受動的な労働者1.0で、視野の狭い生き方になっています。
ただそこから、労働者1.0から労働者2.0を目指す過程で、主体的に行動する意識を持ち、自己投資や長期投資に精を出していくことが重要であると主張しています。
その結果、段々と「投資家の思想」が身についていきます。
じゃあ、「投資家の思想」が身につくとどうなる…?
「投資家の思想」を持って主体的に行動する意識が身についた結果、自分で人生を切り開いていき、安定した豊かさを得ることができます。
これから平均寿命も一層伸び、ライフステージの考え方が変わっていく今後、主体的に行動していける人でないと時代の変化にも対応できず、生き方に不満を覚えてしまうのではないでしょうか。
だからこそこの「投資家の思想」が豊かな人生に結びつくのです。
受動的だと、嫌なことも受け入れざるを得ない生き方になってしまうのではないかと思います。
本書のこの部分から、FIREを目指そうという思いはあっても、自発的に投資や勉強を重ねていかなければ、主体的な人生には結びつかないと感じました。
またそうでないとFIREの達成は難しいということを改めて、感じさせられました。
2 投資法について
本書の後半では、筆者の投資哲学について触れられています。
その中では、
- 「投機」と「投資」は違う
- 永久に保有するつもりで株式を購入する
- 自分で仮説を立てる
という点がポイントとして挙げられており、とても参考になりました。
「投機」と「投資」は違う
筆者は本書で、「投機」と「投資」の違いについて以下の通り述べています。
投資(オーナーシップ) | 投機(マネーゲーム) | |
焦点 | 「価値」を見極める | 将来の「価格」を予想する |
行動 | 価格<価値の時に買う | 現在の価格<将来の予想価格の時に買う |
性質 | プラスサム | ゼロサムまたはマイナスサム |
この違いを上げる中で筆者は、「投機」は悪ではなく、存在しても良いものとしています。
例えば中には、ゼロサムゲームと呼ばれるFXなどで利益をあげている人もいます。
FXは将来の二国間の通貨価格を予想し取引を行うものです。
二国間の通貨価格が同時に上昇することはないので、一方は儲け、他方は損をし、結果として総和がゼロになるゼロサムゲームとなります。
こちらは「投機」に分類されるということですね。
ただ、筆者の「投資」対象とする株式は、価格<価値の時に、企業価値が将来にわたって高まっていくことを予想し、取引を行います。
企業価値が高まり、それを反映する株価が上昇すれば、各投資家がそれぞれ儲けることができる、プラスサムゲームとなります。
筆者は、持続的にお金を殖やす手段として、「投資」を推奨しています。
つみたてNISAやiDeCoなんかは、「投資」ですね。
永久に保有するつもりで株式を購入する
2つ目のポイントは、永久に保有するつもりで株式を購入するということです。
先に述べた「投資」を行う中では、企業価値が高まっていき、永続的に利益を出せる会社に投資をすることが重要になってきます。
その永続的に利益を出せる会社を見つけるコツとして、「構造的に強靭な企業®︎」(農林中金バリューインベストメンツ株式会社の登録商標)を探すことをおすすめしています。
その基準は以下の3つです。
- 高い付加価値
- 高い参入障壁
- 長期潮流
この3つの要素を持っていれば、その株式を保有し続けられると考えられます。
この要素の具体例なども本書には説明されているので、自分の気になる銘柄に関しても同じように考えるきっかけとなると思いました。
自分で仮説を立てる
先に述べたように、時代の流れはどんどん変化していきます。
これからも参入障壁を崩されずに利益を出していけるかを分析していかなければなりません。
ただ、その分析の中では、その会社に係る数値だけを見るのではなく、自分なりに仮説を立て判断する必要があります。
結果を基に、その原因を自分なりに考えるのは、投資だけではなく普段の生活から大事なことですよね。
世の中には様々な情報が氾濫しています。
その中で情報を取捨選択し、必要な情報から自分なりに仮説を立て検証していくことが大事であると著者は述べています。
4 考えたこと
今回は、「ビジネスエリートになるための教養としての投資」の書評でした。
今回紹介した中の、「主体的に行動する」、「仮説を立てて検証する」といった部分などは、正にビジネスにも通ずる部分であると思います。
FIREを目指し始めた方も、そうでない方も、ビジネスパーソンとして成長していくためにも投資は勉強しておいて損のないものであると改めて思いました。
少しずつ投資を始めてみようかな…。
今回紹介した部分の他にも、
- 投資商品の売りを意識するタイミング
- インデックス投資・アクティブ投資への著者の意見
など参考になる部分も多いので、長期投資に対して興味のある人はぜひ読んでみることをおすすめします。
また、筆者の歩んできたキャリアも紹介されているので、自分のキャリアを見つめ直したい人にもおすすめです。
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